ボコボコにしてやるぅ〜!よく不良が言いそうな言葉だが ほんとにボコボコになるもんだなぁ……進二は事務所の鏡で自分の顔に感心した。

こんなに自分をボコボコにしたのは隼人 つまり兄である。

 

「自業自得だからなぁ。しかたねえやなぁ……ってぇ!」
冷やしたタオルでもないよりはましだろうと頬に当てる。

「しかし 萌えるビデオだったなぁ〜惜しいわぁ」
全部没収されてからでは後の祭りだが 香南と一緒にチラッと見ただけでも あれが本物の初物 レイプものだったことは明白だ。
しかもその僅かなのぞき見で 香南という人材が最高にセクシャルな魅力の持ち主だと確信したのだった。

隼人に殺されるとマジで思った。

あの後隼人はあのビデオをどうしたのだろう。
隠し持っているのなら留守中に探して どうしても一本観てみたい。


「……まあ ムリだな」
進二は自分の欲望を自己完結させてケータイを取り出した。

「あ〜みそらさん?あのぉ、残念なんですがあれねぇ〜ちょっと映像がぼけててね。使い物になんねぇんだよ。だからさこの間の500万で終わりって事にしてね」
電話口でみそらがわあわあ叫んでいるのを気にせずに 進二は終了した。

「これでよしっと」

それにしても痛い。
顔が元にもどるのはいつだろう。
進二はおおきくため息をついた。

進二は今まで 鬼のような隼人がどうしてあんなお子様にいちころになるのかと不思議でならなかったが それがあのビデオを少し観ただけでわかった気がした。

「あれは ある意味その道のドル箱じゃねえか けっ もったいねぇ」
だが それを独り占め出来るというのは最高の贅沢なのかもしれない。
兄貴がそういう贅沢をしたいというのなら そうさせるしかないのだろう。
いくら魅力があっても あんなに後ろがやっかいでどろどろしてて不安定なのは 進二には扱いきれる自信はないが 隼人なら上手くやれるに違いない。

進二にとって 隼人は尊敬してやまない兄だ。
父は違うが 兄弟としてこの世にいることができるだけで幸せを感じる。
父の恩人であるという隼人の父は 世界に名だたる実力者だそうだが 進二にはよくわからない。
それでも隼人の実力は いつも一緒に仕事をている進二にはよくわかっている。
どんな不可能も可能に出来るまるで神のような頭脳に 進二は心底惚れ込んでいた。
弟としてその隣に居られることは 自身の誇りとさえ思えるのだ。
隼人の言うことは絶対だ。

初めに出された みそらを消す依頼は その数日後に隼人から取り消されていた。
しかし あのビデオが出てきた今 隼人はどう出るのだろうか。
いずれにしても気の重い話だと 進二は自分の顔を撫でながら思った。

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