ドアの外からためらいがちな前島の声が聞える。
「おい、友貴。帰らないのか?先に行くぞ……」
返事をしようと一成を押しのけようとすると 一成はいきなり友貴のベルトをはずし直にまだその意思の無い物を掴んだ。
「ううっ……んんっ……」
前島に聞えないようにと 声を噛むんでもそれは小さく零れて いけないと思えば思うほど感じてしまう。
やがて前島は諦めて帰ったのか 静かになった。
「とにっ!なにするんだよ。だいたいどうして一成がここにいるのさ?ちゃんと説明しろ」
友貴の抗議を何も気にすることもなく 一成は手際よくそのズボンを下着ごと引き抜いた。
大きなデスクの上には何も置かれていなかった。
一成は その真ん中に友貴の腰から上を倒していく。
「や……やだって……こんなとこで」
「そうなの?俺は1回はこういうところでしてみたいけどな。さあ、友。足を開いて」
上はシャツにネクタイをしたままで 下は何も着けていないその隠微さに震えるほど羞恥を感じる。
友貴はそろそろと足を開いた。
いきなり立ち上がりかけたそれを口に含まれ 友貴はもう押さえが聞かなくなりそうになる。
「まずいって……ああっ……や……っんん…」
割れ目に舌で擦られて 友貴はその快感に抗えなくなり 一成の乱れなきスーツの背を掴んで細い声をあげる。
「ああっ……はぁ……ん」
奥まで含まれ 吸い上げられると あっけなく友貴は精を放った。
「早かったね。だめだよ もっと我慢しなくちゃ」
拗ねたように睨む友貴にふふっと笑い 一成はその額に口づけた。
「ごめんね。かわいいからいじめたくなるんだ」
「こんな仕事してるなんて知らなかった」
ふくれる友貴の髪を一成は愛おしむように撫でる。
「だって友は何にも俺のこと聞かなかったろ」
「……そうだけど」
「知りたくなってくれるのをずっと待っていたんだよ」
言い訳にも思えるが そう言われればそうなのかと友黄は納得する。
「で、知りたくなった?俺の事」
ゆっくり頷いた友貴に一成は微笑んで その手を掴んでそっと引き起した。
立ち上がるといっそう下だけ素肌の違和感が増し 友貴は急いで脱がせられた下着とスラックスをはく。
「準備ができたら外へ出よう」
大学の駐車場に駐められていたスポーツカーに乗って街中に出た。
友貴は心地よい風に頬を緩める。
「気持ちいいね この車」
「そんなに友が喜ぶなら もっと早く乗って貰えばよかったな」
小さな声で うんといいながら 友貴はまた外を見る。
変と言えば変だが あの交差点で出会った時以外は 外で会ったことは無かった。
金曜の夜というより夜中に 一成は友貴のアパートに来る。
そして土曜の昼前には帰って行くのだ。
それに友貴は大概土曜の朝は動けない状態の方が多い。
もちろん夜の情交の激しさの所為だが。
車は 街中を抜け少し斜面になった丘の上に着いた。
丘の上に一軒の大きな洋館があった。
そしてその庭は大きな公園と見まごうほど広い。
「ここは?」
一成がにっこり笑う。
「俺の家」
驚きすぎて言葉が出ない。
門から屋敷までを 速度を落として走る車から 友貴は庭に咲いた花々を眺める。
どれもよく手入れがされていて 美しいことこの上ない。
「えっと、今俺が行ったら 家族とかにあって一成が困るんじゃない?」
「いいや、ここ俺しかいないよ。週に何度か庭の手入れや家の掃除に来てはもらうけど 基本的にここは俺専用なんだ。そしてできるなら友もここで一緒に住んで欲しい」
「……俺…なんかでいいの?」
「友じゃなきゃ嫌なんだ」
「俺 男だし。大学とか家族とか会社とか……いろいろ言われたら嫌じゃないの?」
「男とか女とかは関係ないよ。困っている人を助けましょうって よく学校でも言われるけどね、本当にそんな優しさのある奴ってのは たまにしかいないんだよ。そんな奴が側にいてくれたら 俺はもう怖いもんなしになれそうなんだ」
「ああ、あれ?……あれはちょっとした気まぐれで いつもそうする訳じゃないよ」
「ああ、むしろ 俺以外の奴にはそんな親切はしないでくれるとありがたいよ」
この一年 友貴はどんどん一成に惹かれていく自分を感じていた。
それでもやはりわかれば世間に後ろ指をさされることなのだと 何処かで自分を抑えていた。
深入りしてはいけない。
好きになりすぎてはいけないと。
いつも睦言で囁かれる言葉に溺れそうになっても どこかで一線を引いてる自分がいた。
でも……もう気持ちを抑えなくてもいいんだ。
「一成……今まで言わなかったけど 初めて会ったときから 好き。ずっと好き」
玄関の前で駐めた車の中で 友貴は一成の頬にそっと唇を当てた。