広いバスタブに二人で浸かると 一成は友貴を後ろから包み込むように抱いた。

「一成……熱い……身体が…ハァ…変なん……」

とぎれとぎれの友貴の声を聞きながら 一成はうなじに舌を這わせた。

「ああっ…ン……」

「バカだな こんな薬を飲まされて。なにやってるんだ友は。お仕置きがいるな」
友貴の中心は すっかり立ち上がってもう甘い蜜を滴らせている。

「お仕置きなんて…ハァ…いら…ない…」

一成はおもしろそうにその中心に手をかけ 先走りに濡れる割れ目をそっとなぞった。

「いらない?……本当にいらないの?」

普段とは比べものにならないほどの強い快感が友貴を襲い その熱が噴出先を求めて身体の中を荒れ狂っている。
もうなんにも考えられない。

「一成……俺……熱くて……助けてっ」

一成はふっと鼻で笑って 友貴のうなじにキスをした。

「了解」



いつも一成はやさしく友貴を抱く。
身体中にそっとキスをして 決して行為で傷つくことのないように そこは十分な時間をかけ トロトロに溶けるまで解されていた。

けれども今 熱に支配されている友貴には そのやさしささえまどろっこしく思える。
早く一つになりたい。

「一成……ねぇ……きつくして……ねえ……めちゃくちゃにして」

息も絶え絶えに懇願する友貴に 一成の理性は瞬間に弾けた。

「……了解」

洗い場にあがり 大きな鏡の壁に友貴の両手をつかせる。
後ろからソープの滑りを借りて 指が入ってくる。

「んっ…」

「おもいっきり声を出せよ」
耳元で囁くと友貴は泣き出しそうな声をあげた。

二本に増やされた指はくちゃくちゃという水音をたててその中で蠢く。
ときおり友貴の感じる場所を擦っては また違うところに逃げてしまう。
そのもどかしさがたまらなくなって 友貴は自分で腰を動しはじめた。

「淫乱だな。腰をふって」

「ち…ちがう…」

普段なら絶対にこんな恥ずかしいことはしない友貴だが 今は身体中が変なのだ。

「ほしいの?」

微かに残った理性が羞恥に震える。
それでも熱が身体中を渦巻いてどうにもならないもどかしさに 友貴は懇願する。

「一成……挿れて…」

その声に一成はやさしく笑い いきなり奥まで貫いた。

「ああっー……っはぁ……」

背を反らせて啼く友貴の中心を 一成はそっと掴んで扱きはじめる。

「ああっ…ああっ…ああっ…」

「もう…もういくっ」
一成はぎゅっと根本を戒める。

「いやっ……やっ…はなしてっ…」
一成は狂ったように泣き叫ぶ友貴の耳に口元を寄せた。

「このままいかしてやったら 何にもお仕置きにならないだろ?」
過ぎる快感は苦しくて 友貴はすすり泣く。

「じゃここからお望みの きついやつ……」

入り口まで引き抜かれたそれを また瞬時に最奥に突き入れられる。
スピードを上げた激しい抽送に 切れ間無く友貴が声をあげる。

肉のぶつかり合うパタパタという音も そこがたてるくちゅくちゅという水音も酷く隠微で 友貴は言いようのない快感の海を漂った。

戒めながらぎゅっと友貴の腰を押え 強く腰を振っていた一成はやがてううっとうめいてその戒めを放った。

「ああっー」

大きく声を上げた友貴は そのまま脱力する。

 


 

暗くなりかけた構内を 友貴は前島と一緒に歩く。

講義をほとんど同じように組んだのは その方が便利な事が多いからだけで深い意味はない。


「なあ、友貴。お前ほんとに紫藤といとこなのかよ」

「急に何言い出すんだよ」

いきなり来た返事に困る質問に 友貴は慌てた。

「そうなのか 違うのか はっきりしろ」

違うけど……あのとき紫藤はそう前島に説明しちゃってるから 今更違うとは言いにくい。

「まあ そうなんだ。 でもいとこって言っても ずっと合ってなかったから」
いいわけするように語尾が段々小さくなる。

「そうか。 なら今度のテストの問題 何が出るのか聞いてきてくれよ」

「はぁ? んなことできるわけないよ」

「つめたいぞ 友貴!」

「俺も自分でやるんだから 前島もちゃんと自分でやれっ」

言いきって舌を出し 友貴は走り出した。
これから前島はテニスサークルに行き 友貴は紫藤と一緒に帰るのだ。
振り返って片手をあげる友貴に 前島は笑いながら手を振った。





ガチャリとドアを開けると 奥から人の声がした。

「横沢 いい加減にしろ」

きつい声がしたと同時にガシャンと何かが割れる音がした。
慌てて奥に行くと 床に割れた花びんと散らかった花 そして横沢が倒れていた。

「友貴……そいつの手当をしてやってくれ」

紫藤はため息をつきながら横沢を手で示す。

「横沢君 あの……大丈夫?」

横沢はじっと友貴の顔を見上げた。



「おまえ……誰?」

「俺のいとこの友貴だ」

返事に困る友貴の横から低い声が響いた。

手を引いて起そうとする友貴の手を払って 横沢は自分で立ち上がる。
その腕には花びんの破片で傷ついたのか 少し血が滲んでいた。

「ふうん。教授の好みはこういう奴なんだ」



「そんなんじゃ…ない」
消え入るような友貴の声を鼻で笑い 横沢は額が触れそうになるほど間近で友貴を眺める。


「教授……この子のどこが可愛いって言うの?」

勝ち誇ったような横沢に 反論する声も出せなかった。


だって ほんとうに横沢はかわいいし それに俺はごくごく普通で可愛くなんかない。

 

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