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ハンドルを握る一成の横で 友貴は景色を眺めていた。
ずっと先のことなんかどうでもいい。
大事なのは今 大好きな一成と一緒にいるということだ。
「ねえ 一成……」
婚約者の事を知って 友貴が拗ねていると勘違いしているのか 一成は不安そうな顔で友貴の口元を見る。
「……あの…ね……俺 今 一成がほしい」
一成ははっとしたような顔で友貴の手をにぎゅっと握った。
「あのね……今……だけで…いいんだ……だから」
一成は何も言わず 握った手に力を込めた。
「なんかすっごい高級なホテルだな」
床も壁も ピカピカの大理石で磨き上げられている高級なこのホテルは この界隈なら一番高くて高級とされているホテルである。
一泊何十万とするなんて事は 友貴は全く知る由もなかったが それでも見るだけでその高級さはわかった。
「あの……一成 何もこんなところじゃなくていいのに」
さっきから 何を言っても一成は無言だった。
今一成を欲しいだなんて言ってしまった。
きっとなんて淫乱なやつだろうと呆れられて返事をしないのかもとと思うと ちょっと悲しかった。
ポン とエレベーターが音を立てて開く。
そこはには大きな扉があるだけで 他の部屋は見当たらない。
もしかしてこのフロア貸し切りなんだろうか。
それがほんとうなら 自分の口走ったはしたないことで 一成にたくさんの出費をさせたことになってしまう。
「さあ ついたよ」
扉を開けると 一成は優しい笑みで友貴の肩を押し 部屋へ入れた。
「君は 何もわかってない。俺の婚約者は名ばかりなんだ。俺が自分で決めた訳じゃない。きっと相手だって迷惑してるさ。俺が自分で決めたパートナーは君なのに。わかった風なことを言って……どうしたら俺の気持ちは友だけだってわかってももらえるんだ」
知らぬ間に頬が濡れていて 自分が泣いていることを知った。
「あのね……ありがと……でもほんとうに結婚していいよ。そうしないと家族とかがこまるんじゃないの?」
「友……」
額の生え際にそっと唇が落ちる。
それだけでうっとりと安らぎを感じた。
ほほに肩にキスを受けながら 一成のシャツのボタンを外した。
早くその熱い肌に触れたかった。
一成は友貴のベルトを外しそっと下着の中にその手を滑らせる。
「ああっ……っん……」
「友……離さない……離さないからなっ……」
一成の素肌の胸に耳をつけると ドクドクと心臓の音がした。
ああ 生きてる
そう実感する間もなく 一成の手に翻弄されてしまう。
「ああっ……もう…」
「ダメだ いかせない」
入り口の棚の中に アメニティグッズが入れてある袋があった。
ご丁寧に袋の口はブルーのリボンで結んであった。
一成はそのリボンをすっと取ると
「今日はこのリボンをしてもらうよ」
と友貴の爆発寸前の物を根本で縛った。
「や……やだっ…」
まるで責め苦のような過ぎる快感に 友貴は何も考えられなくなった。
ときおり一成が囁く 離さない という言葉が胸に染みるように響いてくる。
本当に離さないでいてくれたらと思う。
だがそれは一成の立場を悪くすることなのかもしれない。
きっと家族はそれなりのお嬢さんと結婚させようと考えているのだろう。一成を想う気持ちは誰にも負けない自信はあっても 悔しいが自分にはその遺伝子を伝えていくことはできないのだ。
だから……好きなら 愛しているなら尚のこと一成の側にいてはいけないではないか。
「一成…んんっ……今……だけ……」
朦朧としている友貴に 一成の悲しそうな顔がうつった。
「もう……十分幸せもらったから……」
奥まで突かれながら 友貴は悲しそうな一成の顔にそっと指を這わした。
「逢えてよかった……はぁ……好きだよ」
「婚約の事黙っていて悪かった。だがちゃんと断るつもりだったんだ。信じてくれ 友がいなかったら嫌なんだ」
一成はそう言うと激しく挿送をはじめる。
「…んっ……あっ……あっ……あっ」
深く突き入れられる度にあがる水音と 肉のぶつかる音が部屋に響く。
一番感じる部分を一成の太い楔で擦られて 友貴は強すぎる快感に啼き続ける。
一成は戒めていた青いリボンをすっと外すと思い切り自分の快感を追う。
お腹の中に熱いほとばしりを感じ 幸福感が友貴を包んだ。
ぎゅっと一成の背中に爪を立て胸を反らせて自分もその精を放った。
……こんなに しあわせ
どうしてあの日 あの駅で降りたのだろう。
ほんの気まぐれの行動から 一成に出会った。
あのときどうして蹲る一成に声を掛けたのだろう。
交差点にはあのとうりゃんせが鳴り 言っていたのに。
「行きはよいよい帰りは怖い」
手にしてしまったら 失うことに怯えるってわかっているのに
どうして どうして人はそれでもそれを手にしようとしてしまうのだろう
それでももうこんなに幸せを感じられた。
だから 求めた事は後悔したくない
しばらくベットで休んだ後 二人は部屋にある豪華な造りのお風呂に入った。
「友 壁に手をついて そう 足を開いて ああもうちょっと手は下について」
一成は指をそこに入れ折り曲げるようにして掻き出しいく。
ただの事後処理なのだがどうしてもまださっき達したばかりの敏感な身体は その行為からどうしても快感を感じてしまう。
友貴は小さく声をもらした。
「んっ…んっ…っ」
すると一成はやさしく微笑んで わざと一番感じる所をその指で刺激してくるのだった。
「や……いやっ……っは…」
「嫌じゃない いい の間違いだろ ごめっ やっぱ我慢できない」
一成は後ろから硬く反り立ったものを友貴に当てて一気に貫いた。
「ああっーー」
友貴の目からポロポロと涙がこぼれる。
それが別れを決意した悲しみなのか 感じすぎる身体が生理的に流すものなのか自分でもわからなかった。
いつの間に車に乗ったのか覚えがない。
ふっと気がつくともう岡の上の豪邸に到着したところだった。
「あの……俺いつの間に…」
「ごめん ムリさせたみたいで 友は気を失ってたから」
申し訳なさそうに一成は口ごもる。
「俺こそ ごめん 」
怠い下半身を引きずりながら車を降りる。
今週でここに泊るのもやめよう。
友貴は屋敷を見上げながらそう思った。